大学入学後の記事ですが、
高校を卒業して社会人になる皆さんも
同じように周りの人にサポートして
もらってくださいね。
発達障がいのある受験生が、大学入学前から心がけておきたいことは――。
注意欠如・多動症(ADHD)、学習障がい(LD)、自閉スペクトラム症(ASD)傾向と診断され、学習や人間関係に悩んだ経験を本にした、帝京大法学部3年の西川幹之佑さん(21)に聞いた。
■苦手なこと、入学前から伝える/授業が合うか情報収集
大学は自由な分、自立も求められます。合格後、大学から資料やメールが次々と届き、提出期限がある書類を準備したりガイダンスに参加したりと、自分で判断してやらなければならないことがたくさんあります。
特に戸惑ったのは、履修登録です。
多くの科目から、卒業に必要な単位数も考えて必修・選択科目の時間割を組むことが大変で、教科書も自分で買わなければいけない。
小中高校と違って手助けしてくれる担任もいないので、頭の中で整理することが苦手な人や、物事を忘れやすい特性がある人は、最初から疲れてしまうかもしれません。
だから、親以外に相談できる相手をできるだけ早く、多く見つけることが、ほかの学生以上に重要になります。
ガイダンスで一緒になった学生でも教職員でもいい。僕はあいさつを大切にし、そこから関係を作るようにしています。
今年4月から、改正された障害者差別解消法が施行され、私立の大学にも合理的配慮が法的に義務づけられます。
各大学の障がいがある学生のための支援センターでも、大学の先生でもいいので、入学前の早い段階から恥ずかしがらずに「自分は発達障がいでこういう特性があり、こういうことが苦手だから、こうしてほしい」と交渉できるかどうかで、大学生活はかなり変わります。
実は僕は、1年生の前期は、履修科目の約半数の単位を落としました。
授業には真面目に出席していましたが、レポートの書き方を間違えていたり、提出期限に間に合わなかったり。
僕は、集団で議論してまとめて発表する授業が苦手でした。聴覚過敏など、特性によっては合わない形態の授業もあります。
だから、学期ごとに、先生に相談に行くようにしました。あとは、同じ趣味の仲間を作ることですね。
僕は、鉄道研究会と軍事史研究会に入り、先輩や友達から、授業形態や先生についての詳しい情報を事前に集めるようにしました。とても助けられています。
もし複数の大学や学部学科に合格したら、偏差値だけで進学先を選ばず、「卒業できる大学」という視点も入れて選ぶことをおすすめします。
LDならパソコンで授業や試験が受けられるか、読みやすいフォントの教材が使えるかなど。
入学後の大学生活で何ができるかもイメージして情報を集めてください。
(聞き手 編集委員・宮坂麻子)
朝日新聞 2024年1月30日 朝刊より
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